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2021.09.19【まさき】アジャラカモクレン テケレッツのパー
こんにちは!まさきです。
今日の記事の表題を見て、死神を連想した方は相当な落語通とお見受けします!笑
「アジャラカモクレン テケレッツのパー」とは、古典落語「死神」に登場する、死神を追い払う際に唱える言葉です。
そんな落語「死神」ですが、今年の6月にシンガーソングライターの米津玄師さんがYouTubeにて「死神」を原案とするミュージックビデオを公開しました。
▼米津玄師 – 死神 Kenshi Yonezu – Shinigami
https://youtu.be/8nxaZ69ElEc
オシャレな中にも江戸の下町の情緒や人間の黒い部分を表現した、米津さんらしい素敵な楽曲ですね。
ここで、「死神」のあらすじをザっと紹介します。
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主人公の男は、甲斐性無しで金もない。オマケに女房からは散々な言われよう。生きることに希望を見出せなくなった男は、遂に自殺を決意します。
しかしその時、痩せこけた老人が男の前に現れ「俺ぁ死神だ」と自信の正体を明かします。
死神は男に「お前はまだ死ぬ運命にない。今から医者になれ」と告げますが、男には医者の心得がありません。
そこで死神は、男に他の死神が見えるようになる能力を授け「どんな重病人でも、死神が足元にいるうちはその病人はまだ寿命ではない。逆に枕元に死神が座ってる時ぁそいつは寿命だ」と語ります。
そして死神は続けて、病人の足元にいる死神を追い払うための呪文を男に教えます。
「『アジャラカモクレン テケレッツのパー』と唱えて手を二回叩く。これで医者をやれ」
男にそう告げた死神は、スーッとどこかへ消えてしまいます。
死神の助言通り医者の看板を掲げた男は、ひょんなことから病床に伏す大店の主人を診る事になります。主人の足元には一人の死神が。男は教わった通り呪文を唱え、手を二回叩くと死神は姿を消し、主人は嘘のように元気に回復します。感激した主人は、男に多額の報酬を払います。
こうして瞬く間に名医として名を馳せるようになった男ですが、巨額の報酬金を手に入れたことで金に目が眩み、運命が大きく変わっていくこととなります………。
※画像「いらすとや」より引用
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「死神」は、幕末期に活躍した古典落語の祖と言われる三遊亭圓朝(さんゆうてい・えんちょう)によって作られた演目であり、グリム童話「死神の名付け親」という作品からインスパイアされて作られたと言われています。
この演目は口演時間が約1時間と、非常に長いことで知られています。
また「アジャラカモクレン…」の呪文は、噺家さんによっては時事ネタとなる単語を挿入したりと、様々な違いが見受けられるという面白さがあります。
さて、話を米津さんの「死神」のミュージックビデオ(以下:MV)に戻しましょう。
先ほどのMVはたったの2分。このたった2分の中に「死神」という演目の魅力をギュッと凝縮して詰め込んでおり、一つの作品として見事に完成させているのです。
主人公の男(高座の噺家)、病床に居る死神(観客)、男と最初に出会った死神(黒スーツの男)、これら全ての人物を米津さんが演じているのも興味深い点です。
MVの舞台となってるのは「新宿末廣亭」、また、一般社団法人落語協会がMV監修協力している点からも、この楽曲およびMVの本気度が垣間見えます。
※画像「photoAC」より引用 「新宿末廣亭」
また、このMVの影響で、昭和の名人と謳われた六代目三遊亭圓生(さんゆうてい・えんしょう)師匠の「死神」の動画に、落語にまだ馴染みの薄い若い世代の視聴者からのコメントが寄せられたりといった現象が巻き起こっています。
これも米津さんの才能であり、また落語「死神」という演目が持つ魅力とパワーなのでしょう。
自分とほぼ同年代の米津さんが活躍しているのを見ると、やはり感化されますね。
自分も今後に向けて頑張らなければ!!
以上、まさきでした!