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2021.08.20あおげば「うちわ」の話
今回は「うちわ」の話です。
うちわとは――
手で扇いで風を起こす道具の一種です。
あまりにも単純、なんなら道具を使わず手のひらでも再現できるほどです。
そのうちわですから、古くからその存在は確認されています。
古代中国や古代エジプトですでに記録されており、
日本でも確認されているのは弥生時代や古墳時代、木製のものが出土しています。
出土しているものは「さしば・さしは」と呼ばれるうちわの柄を長くした形状のものです。
ただし、現代のように涼を得るためのものではなく、祭祀などに使用する道具だったようです。
中世になり、公家や役人、僧侶の間では用途はそのままに発展し、
より巨大化したり豪華になったりしていきました。
素材も絹やビロウ、芭蕉の繊維や鳥の羽など多様に使用され、発展していきました。
一方この時代には庶民にも使用され、
庶民の間では網代編み(木や竹、草などを細く薄くして編んだもの)の
四角いうちわが使われたそうです。
この頃までは中心に柄と一体である棒を通し、扇部分を枠によって固定する形状が
基本でした。
それから時代が下り、現代のような神や骨の構造になったのは室町時代末とのことです。
また、戦国時代以降は素材に漆塗りや板、薄い鉄板などを材料に堅固につくられた、
軍配団扇が武家の戦いの中で使用され、軍の指揮や家紋や象徴を示しました。
また、旗のように家紋を記した大型団扇なども製作されました。
江戸時代になると、広く庶民にも普及し、涼や炊事、装いや流行、ホタルや虫追いなど、
日常生活の道具として様々な場面で利用されていきました。
また、それにともなって量産のために全国各地には団扇産地が形成され、
木版技術の向上が大量の団扇絵生産を可能にし、一般大衆にその商品や絵が普及するようになりました。
図柄も、文芸や浮世絵が摺られるようになり、団扇を通じてその表現は創意工夫がされるようにもなりました。
明治時代からは広告としての団扇が多く作られるようになりました。
安く大量生産した団扇を鉄道会社などが客に配ったり、商家や寺社の頒布物としての需要が増しました。
裏面には名入れ、表には商品やメッセージなどを織り込み、その実用性に広告媒体としての意義が備わりました。
このように団扇は単純な形状でありながらながーい歴史があるんですね。
更にうちわには種類がありまして、
日本三大うちわというものがあります。
・京うちわ
・丸亀うちわ
・房州うちわ
この3つです。
京うちわは角を落とした四角っぽい形をしています。
柄が中骨と一体ではなく、後から取り付けられているのも特徴です。
丸亀団扇は丸みを帯びた四角っぽい形状です。
柄が平べったいのが特徴ですね。
房州うちわは丸い形をしています。
扇の下部分の露出した骨部分に大きな空洞(窓)があるのが特徴ですね。
うちわにも3つもの種類があるなんて驚きですね。
みなさんも自宅にあるうちわを見てみると、案外違いがあったりしておもしろいかもしれませんので、
是非見比べてみてください。