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2021.07.9

置き忘れの未来 ~レトロフューチャーの世界~

 

 かつて、空想上の未来社会が人々を魅了した時代がありました。あくまでも想像上のものであても(あるいはそれゆえに)、魅力的で、どこか胡散臭さがある世界は、戦争から立ち直り、成長する世の中の、当時の人々の心に響く空想世界であったことは、想像つきます。 

 明るい未来像は、その頃の人々の希望を反映し、世相を反映した未来像は、必ずしも明るいものとは限らなかった将来への不安を反映していたことでしょう。 

 一つだけ言えるのは、そこに描かれた未来像は、必ずしも現実として的中してはいない、いや、多くは現実の現在とはかけ離れた将来像を描いていました。 

 では、失われた未来を見ていきましょう。 

明るい未来 

 科学技術の発達は、人々の生活を便利に、豊かに変えるものと考えられていました。現実世界の”3種の神器”に代表される新製品は、人々の労働の黒を軽減し、余暇の時間が増え、新しい娯楽が家庭に持ち込まれつ事になりました。便利さ・豊かさを多くの人が実感することとなりました。 

 このような世の中で、雑誌上で、明るい未来をイラスト付きで紹介されていきます。空飛ぶ車、宇宙への観光旅行、海底開発、コンピューター制御された労働力による余暇の増加などが人々を豊かにし、余暇の増大を招く未来を描きました。未来は希望にあふれる世の中として描かれました。今現在、実現したものがありますが(さすがにそのままそっくりというわけにはいきませんが)、当たっていない、実現したものの、副作用が大きいものも含まれます。 

 その集大成ともいえるイベントが、1970年の大阪万博です。月の石は、宇宙時代の到来を予告し、国内パビリオンは、明るい未来像の一大展覧会となりました。人間シャワーは、福祉目的で実現しましたし、大型スクリーンは、 I MAXシアターとして、実現しています。一方、気象制御は、小規模なものはともかく、台風を消滅させるようなものは、実現不可能でしょう。このような様々な未来像を展示した博覧会ですが、最大の成果は、実体を持った未来像を人々に体感させたところにあるでしょう。 

 まさに、高度成長期の集大成といったところでしょう。ですが、このような成長はいつまでも続きません 

絶望の未来 

 明るい未来像が盛んだった時代においても、未来に対する不安は存在しました。 

 東西冷戦は人類の未来に暗い影を投げかけていたからです。核戦争に対する恐怖は、人類全体を覆っていました。実際、キューバ危機は、核戦争一歩手前の事態に進行していました。幸い、核戦争は回避され、国際間の協調を図る機運が生まれました。ベトナム戦争においても、核の応酬は起こりませんでした。ですが、事態は、中東で進行していました。 

 イスラエルとアラブ諸国の対立が激化し、中東戦争が始まります。原油価格は高騰し、物資が不足するとの認識から、あらゆるものの価格は上昇しました。原油価格の高騰は、加工貿易で成り立っていた経済に悪影響を与え、経済成長が止まりました。スタグフレーションです。 

 さらに、この時代、工業廃棄や、排気ガスなどの公害が社会問題化しました。また、モータリゼーションの拡大による自動車の増大による、交通事故の増加が、交通戦争として問題視されました。 

 現在と将来に対する不安が拡大することになりました。 

 この時代に大ヒットしたのが「ノストラダムスの大予言」「日本沈没」といった、未来への恐怖を描いた本や映画、漫画、TVなどです。未来像に、暗い影が落ちるようになりました。 

現在 

 コロナは、現在に対する不安の象徴です。それだけではありません、環境問題は現実の脅威となっています。これらの脅威を乗り越えて、明るい未来を目指す時代に来ています。

 

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