刑務所グルメ漫画というジャンル – サブカルビジネスセンター

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2021.07.2刑務所グルメ漫画というジャンル

花輪和一「刑務所の中」 

 銃刀法違反で入獄した作者の経験を反映した、刑務所ライフをある意味リアルに描いた、特殊漫画(作者は特殊漫画化に分類される)という一風変わった漫画を紹介していこうと思います。 

 拘置所に収監された主人公(特に記述はないが花輪本人)はこの時点で刑務作業を課されているわけではないので、ある意味喰っちゃ寝の生活を生活を繰り返すことになるので、どんどん太っていくことになっていきます。 

 さて、刑務所グルメ漫画とタイトル部分で書きましたが、この拘置所から早速毎食のレシピを事細かに紹介され、よくもこれだけの食事内容を記録(もしかしたたら記憶)したものだと感心することになります。 

 一定時間に必ず食事が出ることに対して、「しかしまあ毎日毎日忘れもせず、メシをくれるもんだよなあ」「未決囚とはいえ罪人なんだから食パンの耳ひとつまみとクズ野菜のスープを三日に一度与えれば充分だろ思うけどな」「こんなんじゃはりあいがありゃしねえ」と、感想を述べています。 

 この後、刑務所に入獄し、雑居房での生活が始まります。房内では、一定の条件での娯楽があるほか、朝食と夕食はここで行い、昼間は刑務作業を行い昼食は作業所の食堂で行う毎日が始まります。ここでも毎日のレシピを事細かに記録することを忘れてはいません。 

 大晦日を迎えます。年越しそばとおせち料理、お雑煮はもちろん、袋菓子とフルーツのほか、いつもよりちょっと贅沢な食事と白米(普段は麦飯が出ます)が出てきます。ただ、「ああっ銀シャリだあともって食ったら、全然味がなくてね」「相当古い米を使っているだべや、刑務所だからなあ」と細かい文句もあるようです。最も普段は食べられない甘いものもでるので、それなりに満足度も高いようです。 

 ある日の昼食の描写は絶品です。パンとマーガリン、小倉アンで、頭がとろけるようになり、今まで食べたものの中で一番おいしい、と感じられています。甘味は何とも人を魅了するのでしょう。 

 甘味に関するエピソードはもう一つ、模範囚を集めての映画鑑賞会の事です。集められた囚人にコーラとアルフォートが配られ、上映中に飲食を許可されます。楽しみはもちろん、アルフォートの方、大切に食べていきます。雑居房に残っていた残りの囚人も、もちろんスィーツの方に興味津々。「まだチョコレートの甘い余韻が・・・」「いいなあ」とうらやましそう。刑務所内では甘いものの誘惑が強そう。 

 その後、主人公は軽懲罰で独居房に収容され、他の刑務所に押送されることになるというところで話が終わります。 

 刑務所でのグルメ漫画として、極道めしがありますが、こちらはあくまで妄想グルメ、刑務所の中はリアルな刑務所の食事情が分かるといったところでは、一日の長があります。あまり実用では役に立ちたくはありませんが、こういった漫画もあるということもご報告します。 

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